食品添加物基礎講座(22)
食品添加物と表示 (その4)
食品の原材料の表示(2)
前回まで食品における表示事項を説明してきたが、今回から実際の事例を参考に、原材料表示の仕方を主として確認する。
食品における表示
先ず、食品において決められているさまざまな表示について、冷凍食品の例で確認する。
欄外には、「賞味期限」の年月日、国内での「販売者名とその住所」、商品に関する電話問い合わせ先が記載されている。
このように、先に説明した食品の「品名」、「原材料名」、「賞味期限」、「保存方法」、「原産地」および「製造者等」に関する表示が行われており、冷凍食品として「凍結前の加熱の有無」、食べるための「加熱調理の必要性」等、さらには「内容量」も表示されている。このように、定められた表示の内容にはさまざまな事項がある。
原材料名の欄では、「じゃがいも」と「とうもろこし」に関して、波線のアンダーラインで示したように原材料に使用した食品の遺伝子組換え技術操作の有無に関する情報が示されている。この事例では、いずれも遺伝子組換えはされていない旨の記載がある。このように遺伝子組換えの操作が行われていない場合は、表示は免除されているが、消費者への情報提供の観点から表示されたものである。
食品アレルギー原因となる原材料の情報に関しては、二重線のアンダーラインで示しているが、表示が義務づけられている原材料はパン粉と小麦粉の原料である小麦がある。小麦は、醤油にも使われている可能性があるが、いずれにしても小麦粉が表示されているので、法に基づく表示は満たされている。さらに、表示が推奨されている食品原材料としては、鶏肉と醤油に使われる大豆が対象となる。鶏肉は表示されており、醤油を表示すれば、代替表示として大豆を表示することは免除されているが、揚げ油が大豆油である旨を表示することにより、大豆の表示がなされており、消費者にはより判りやすくなっている。
もう一つ例として、次にプリンでの表示を見てみる。
賞味期限に関しては、この記載のとおり側面に表示されている。製造者に固有記号(K2)が表示されていることから、このプリンのメーカーは、本社所在地以外に存在する工場で製造したことが判る。
なお、食品アレルギーに対応する特定原材料の卵と乳に由来する食品<生乳、乳製品、乳清たんぱく>と、表示が推奨されるゼラチンが表示されている。
原材料表示における遺伝子組換え技術に関する情報
ここまで、食品に表示されるさまざまな事項について事例をもとに確認してきた。これからは、原材料の表示を中心に事例を見直していく。ここでは、遺伝子組換え技術を使用したか否かに関する情報について、いくつかの事例で見てみる。
@醤油(本醸造 JAS特級)
A生菓子
この2例は、遺伝子組換え操作をした原料と操作していない原料を分別せずに、食品用の原料に使用したことを表示している珍しい事例である。
なお、ずんだもちの例では、大豆は分別品を使用した旨が表示されている。この表示方法は、法の基準から見ると、表示の義務がある「遺伝子組換えのものを分別」したものに当たるとみられるが、組換操作をしていないものだけを分別使用したことを意味した不完全な表示だったことも考えられる。いずれにしても、不明確な書き方である。判りやすい表示が求められる。
この2例の食品には、特定原材料等食品アレルギーの原因になるおそれがある食品も原材料として使用されているが、ここでは、説明を省略する。
次に示す事例は、遺伝子組換えの可能性を持つ原材料がいくつか使われている食品である。
@グラタン風味スナック菓子
この事例では、コーンフラワーのトウモロコシ、醤油と味噌の大豆に遺伝子組み換え技術が使われたものが存在する。このために、それぞれにどのような原料を使用したかが表示されることになる。このスナック菓子では、いずれの原材料も遺伝子組換え技術を使用した作物は使われていない旨が表示されている。
ところで、醤油と味噌は原料として大豆が使われることは、周知であるとされており、原材料となる大豆を表示せずに、遺伝子組換えに関する情報だけが表示されている。
このように遺伝子組換えでないものを分別して使用している場合は、何度も触れるように表示は不要であるが、この事例のように、表示することが一般的に行われている。
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